● 第2回シンポジウム (2000年 3月18日)
2000年3月11日の東京における私たちのシンポジウムの詳細な内容は、判例時報1707号3ページ以下に掲載されました。その概要は次のとおりです。

「キャリア裁判官の現状と問題点」
井垣 康弘 (神戸家裁判事) 

 1 最高裁事務総長と毎日新聞論説員との対談内容
 2 裁判官のキャリアの外観
 3 裁判官の出世
 4 キャリア裁判官の「できる」とは
 5 判例重視を主張するエリート裁判官
    佐藤文哉
    (法学セミナー増刊総合特集シリーズ27現代の裁判81p)
    中野次雄
    (判例タイムス150号224p「判例の拘束力についての一考察」
    小林充
    (判例タイムス588号13p「刑事実務と下級審判例」
 6 判例重視への批判
    藤原弘道(判例タイムス929号4p)
    西野喜一(判例タイムス社「判例の仮定」



「キャリア裁判官のもがき」
小林 克美 (京都家裁判事) 

 1 司法危機といわれた時代に任官して
 2 初心を生かせた未特例判事補時代
 3 静かに押し進められた統制
 4 停滞、後退、官僚主義への埋没
 5 裁判官ネットワークに参加して市民の中へ



「外から見るキャリア裁判官の特質」
浅見 宣義 (元宮崎地裁判事 預金保険機構へ出向中) 

一 1 裁判官の出向制度とは?
   2 出向先について

二 キャリア裁判宮の良さ
   1 法解釈能力、個別事件での柔軟性、責任感、廉直性等々
   2 常識の点はどうか。
   3 「統一性と等質性」

三 キャリア裁判官の弱点
   1 自分を鍛える機会の少なさ
     ・・・「たくましさ」と「したたかさ」
   @ 行政官僚
   A 弁護士
   B 裁判官
   2 人間的な等質性の中で定年まで暮らしてしまうこと
   3 「他にはねる」ことを意識することのなさ
     ・・・職人的裁判官像
   4 マスコミリスクを負わないこと

四 まとめ
   1 キャリア裁判官への個人的な思い
   2 「上品だけど縮こまりすぎている」裁判官
   3 「小さな司法」の人間的な基盤
「裁判官の増員」
小原 卓雄 (大阪高裁判事) 

1 高裁の執務の一般的スタイル
 (1) 新件の記録検討
 (2) 法廷は週2回
 (3) 判決起案

2 大阪高裁での事件数
 (1) 人的構成
 (2) 新受事件の推移
 (3) 陪席裁判官一人当たり年間135件
 (4) 平成11年の既済件数

3 負担軽減の方策と問題点

4 裁判官の現状と将来
 (1) 現状
 (2) 将来

  ・公正で透明な自己責任社会の到来と国際化
  ・弱者救済と人間の尊厳
  ・裁判官の数倍増と調査官の配置



「キャリア裁判官制度の改革の方策」
岡 文夫 (大阪家裁判事) 

1 キャリア裁判官の弊害
 (1) 官僚化
      専制的、形式的、画一的
 (2) サラリーマン化
 (3) 組織を重視

2 改革の方策
 (1) 市民的自由の保障
      利用者の立場の理解
      裁判官の多様性の確保
 (2) 裁判官の任用に外部の意見を採り入れる
      裁判官の多様性の確保
      利用者への配慮の重視
 (3) 行政官的人事の廃止
    @ 転勤制度の大幅縮小
    A 給料の昇級制の廃止
    B 人事権の分散、民主化

3 法曹一元の適否
 (1) 裁判官の給源は弁護士、法律学者など
    ・・・裁判官の多様性が確保される
 (2) 裁判官選任諮問委員会の設置
    ・・・裁判官の任用に外部の意見を採り入れられる
 (3) 実務上の実績のある弁護士に行政官的人事は取りえない