● 「わが不老長寿法」その8(最終回)
岡山弁護士会弁護士 宮本敦(元岡山家庭裁判所判事)
元日本裁判官ネットワークメンバー,現サポーター 
 今年も例年どおり8月に1泊の人間ドックで検査を受けた。医師である友人を驚かすというわけにはゆかなかったが, 体重が3キロ程度減っており,そのお陰で血液検査の各種の数値が改善し,一層頑張る気になった。来年夏までの1年間 に,少なくとも月1キロ,年10キロの減量という目標を設定した。肥満解消は,急がず焦らず,粘り強く,そして本気になり,隙を作らないことが肝要である。

 脂肪1グラムを消費するには7キロカロリーの運動が必要であるとされている。したがって脂肪1キログラムを消費するには7000キロカロリーの運動を要することになる。 普通の人で,1時間歩くと約240キロカロリーを消費するとのことであり,したがって1時間歩くと脂肪約35グラムが消費されることになり,毎日1時間歩くと1か月で約1キロ痩せることができるという計算になる。

 肥満の大きな原因に飲酒がある。遺伝的に飲んべえの家系の人が減量に成功するためには,酒との戦いに勝利する必要がある。飲酒は,減量の1週間の真摯な努力を,1日で無にしてしまう「隙」となる。私は,しばしばこの隙のために減量に失敗してきた。

 酒は百薬の長であり,適度の飲酒は不老長寿に役立つ。その適量は1日にアルコールで30CCまでとされている。ビールなら500CC,日本酒なら1合というところだろう。赤ワインの赤い色素(ポリフェノール)が健康によいようであるが,私は赤ワインをあまりおいしく感じない。日々の生活で飲酒過多だと,脳梗塞になるなど,必ず人生のいつかある時,付けを払わされることになり,人より早く後悔の瞬間が来ることを覚悟しておかなければならないようである。そこで酒との上手な付き合いの工夫が必要になる。飲酒を程よく楽しむことは,人生を充実させる大切な要素であり,ストレス解消に役立つ。私の家系も飲んべえらしく,祖父は,私が生まれて間もなく脳梗塞で倒れたということである。減量のためにも,本気で節酒しなければならない。

 私は,この間工夫を重ね,懇親会などの行事は普通に付き合うが,それ以外には,ビールなら1日350CC,日本酒なら1日1合の範囲で飲酒を認めることとし,飲酒は夜11時以降で,仕事が終わってからにすること,つまみは食べないこと,できれば週2日は全く飲まない日を作ること,どうしても飲みたい場合には,養命酒を活用することなどを実行し,かなり成功している。今後も酒との上手な付き合いの方法を模索したいと思っている。

 私は健康でかくしゃくとして100歳まで生きることを目指したい。そして老後は大山に小さな山荘を取得して,そこで過ごしたい。大山登山やテニスなどを,少なくとも80歳までは続けるつもりである。自分で釣った小アジの唐揚げで一杯飲み,手打大山ソバの達人となり,雄大な自然の中で,二階のバルコニーから沈み行く真っ赤な太陽を眺めながら,藤椅子に揺られ,焼酎の水割りを楽しむのは何とオツな老後であろうか。そうだ,BGMにはクラシック音楽がよいだろう。そして止めどない思いが湧き出るときにはメモしておいて,随想を書き貯めてゆくというのはどうだろうか。そして夜には満天の星空を楽しむのである。大山では天の川は見えるのだろうか。

 このような老後を過ごしたいという思いは,単なる願望に終わるかも知れない。しかし,このような願望を抱いていると,日常生活を改善し,不老長寿に努力する強力なエネルギーが湧いてくることになる。

 「わが不老長寿法」は今回をもって一旦終わることにするが,遠からず,また続編を書きたいと考えている。その時には体重も各種の血液検査の数値も全て二重丸になっていることを目指したい。わが黒々とした頭髪はいつまで現状を維持できるのだろうか。乞うご期待というところである。

 この連載を熱心にお読みいただいた方には心からお礼を申し上げます。そして,健康増進に役立ちそうで簡単に実行できそうなことは,ぜひ実行してみて下さい。
(平成17年10月1日)