● 「わが不老長寿法」その4
岡山弁護士会弁護士 宮本敦(元岡山家庭裁判所判事)
元日本裁判官ネットワークメンバー,現サポーター 
  最近私の身近に,健康に関する心配事やショックな事が相次いでいる。これまで親しくしていただいてきた先輩の現職や元裁判官が、ガンで手術されたり、手術もできない状態で逝去されたりということが相次ぎ、大変なショックを受けた。そしてついに、同郷の元裁判官で現弁護士が肺ガンで治療を受けられることになり(病名はご本人が広く話をされている。)、私に白羽の矢が立って、その事務所の応援のため、私が事務所を移転するという事態にまでなってしまったのである。いずれの方も愛煙家と思われる。

 ガンの原因は複雑なので、何が原因かは簡単には断定できない。仕事その他のストレスも原因とされているが、たばこが原因だろうと思われる例が多い。

 私は、たばこは直ちに全面的に止めること、40歳を過ぎたらいつガンに罹患しても不思議ではないことを自覚して、年1回は本格的な検査を受けることを提唱したい。特に胃と大腸を年1回カメラで検査すること,何となく体調がおかしいと感じたときは,放置せず,機敏に病院で検査を受けることが大切である。たばこを減らせばガンの危険性が減るかといえばそうではなく、たばこは全面的に止める必要があるとの説が有力である。たばこが、肺ガンに限らず、全てのガンの有力な原因となることは、現代の医学ではもはや否定のしようがない程明白とされている。健康で長生きするように努力することが、家族に対する最大の愛情であることをよく考えてほしい。

 たばこは不老長寿の最大の敵であるが、有害であることを承知の上で止められないのであるから困ったものである。しかし、おそらく多くの喫煙者は、ニコチンの習慣性に負けているのであり、それに負けるのは、たばこに対する危険性の自覚が甚だ不足しているためだろう。喫煙している人には,是非本気で禁煙に挑戦されることをお勧めしたい。何事も、本気になればできないことはないと私は思う。禁煙のためのいろいろな工夫も可能なようである。

 私は約27年前にたばこをキッパリと止めた。それまでは1日2箱吸っていた。当時はたばこの有害性は余り指摘されていなかった。止めた動機は、たばこを止めて釣道具を買ったという甚だ不純なものであるが、止めていてよかったとツクヅク思う。また5年ほど前から年1回、1泊の人間ドックで検査を受けている。3年ほど前に大腸ポリープが発見され、出血していたため切除した。

 私の家はガンの家系で、母をはじめとして多くの親族がガンになった。それだけに健康に対する思いもひとしお強いように思う。身近な人にガンで闘病中の人もおられる中で、今このような一文を書くのもいささか不謹慎かという思いもあって、迷いもしたが、私の痛切な思いを私の叫びとして、一刻も早く多くの人に伝えたいと思った次第である。
(平成17年2月1日)