● 神坂訴訟について
太田由美子(ファンクラブ)
 7月18日(月・祝)エルおおさかで行われた神坂さん任官拒否国賠訴訟上告棄却決定抗議集会に参加してきました。

 詳細な上告理由に対して、主文3行、理由9行という上告受理申立不受理決定に対する怒りの声が神坂さん本人と原告代理人弁護士、訴訟を支援してきた市民から上げられました。印象深かったのは、職場での自身の体験から神坂さんの訴訟に共鳴し支援してきたという女性の最高裁のこういう態度は許せないという涙ながらの訴えでした。

 当日、会場で配布された「上告理由書・上告受理申立理由書」によれば、1審の大阪地裁判決(2000.5.26)が「最高裁判所は、・・・・原告には、将来(任官後)、公正らしさを害する恐れがあり、裁判官として適任でないと評価したものであり、本件任官拒否が原告の思想・信条や過去の活動等そのものを理由としたものではない。」としたのに対し、2審の大阪高裁判決(2003.10.10)は「・・・公正らしさを害することを主たる理由として、控訴人が判事補に指名されなかったものと認めることはできない。・・・最高裁判所は、控訴人の性格や人柄ともいうべき人格的資質から、控訴人が裁判官として適任でないと判断したのであり、本件任官拒否が、原告の思想・信条や過去の活動等そのものを理由としたものではない。」「司法研修所教官が起案において元号を使用するよう何度も注意しているにもかかわらず、頑に拒否し、司法研修所の指導に従わないのであるから、・・・控訴人の人柄(適性)が裁判官にふさわしくないと考えたのもやむを得ないものである。」「司法研修所教官は、控訴人が自己の意見に固執し、指導に従わない点が顕著であることからすると、裁判官になった場合、当事者の意見に耳を傾けることをせず、自己の意見を押し付けることになりかねないことなどを危惧し、控訴人に裁判官志望を撤回するように助言あるいは指導をしたが、控訴人がそれを受け入れなかったため、控訴人が裁判官にふさわしくない旨を記載した資料を司法研修所長に提出し、それが重要な資料となって、最高裁判所において控訴人が判事補に指名されなかったものと考えることができる。」

 最高裁第三小法廷の決定(2005.6.7)は、

主文

本件上告を棄却する。
本件を上告審として受理しない。
上告費用及び申立費用は上告人兼申立人の負担とする。

理由

1.上告について

 民事事件について最高裁判所に上告することが許されるのは、民訴法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ、本件上告理由は違憲及び理由の不備・食違いをいうが、その実質は事実誤認若しくは単なる法令違反をいうもの又はその前提を欠くものであって、明らかに上記各項に規定する事由に該当しない。

2.上告受理申立について

 本件申立ての理由によれば本件は、民訴法318条1項により受理すべきものとは認められない。



 今後神坂さんは、2003年から新設された裁判官指名諮問委員会を通じて任官を希望する予定であるとのこと。これらの判決文を読み、裁判所内にいる者として神坂さんの初志貫徹のため、何らかの手助けができないものかと考えるのは私だけでしょうか。
(平成17年7月)