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● はじけた6時間,語らい尽くせず
「マッケナ・ハワイ州判事を囲んで」
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石渡照代(ファンクラブ運営) |
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今回の企画の主役、サブリナ・静枝・マッケナ判事は、そのお名前のとおり日系二世として日本でお生まれになり、高校卒業まで日本で過ごされました。日本語が堪能で、ハワイ州の司法制度はもちろん、アメリカ全体の司法制度についても語れるという願ってもない方です。第21回日弁連司法シンポジウムにゲストとして来阪されたのを機会に、日本裁判官ネットワークのつどいにも快く参加いただき、裁判官をはじめ、サポーター、ファンクラブ、初めて参加された院生とともに率直な語り合いが実現しました。進行役は森野判事が務めました。楽しい時間は過ぎるのが早いもの、あっという間の6時間でした。
主なテーマは、@裁判官の選任制度・再任制度〜日本との比較 A市民の司法参加〜陪審制度と裁判員制度 B裁判官の市民生活
この中から幾つか興味をそそられた話題を報告したいと思います。
「収入減っても裁判官になりたい!それは何故?」
アメリカはどの州でも「法曹一元」。裁判官の空きポストが出ると、応募してきた弁護士や検察官の中から裁判官が選任されます。例えば「僻地」で応募者がいなくて困るということはないのでしょうか。
「ないですね。大抵1つのポストに30人くらいの応募があります。裁判官になることは社会的な名誉で地位が高く、収入が減ってもなりたい人が多いのです。社会のために役に立ちたい願望と、転勤がない、時間的ストレスがない、再任までの給料は一定している。年金は10年勤めると40%、20年だと75%あります。再び弁護士に戻っても、事務所を持たなくても1時間250ドルというような仕事もあり、十分やっていけるから。」
「所長や長官でも給料は一緒!!」
「はい、同じです。裁判しない裁判官は魅力ないって希望者が少ないです。」
「裁判官の評価は選任・再任とも外部委員会の評価で決まる!」
「そうです。選任・再任とも9人の委員会がします。委員の内訳は4名が弁護士、5名が各分野の市民です。変なコメントも5%くらいあるけれど、みんな独立精神があって勇気のある人を選ぼうとしているのが分かります。再任で最重要なのは弁護士からの評価です。組織になじんでいるかという内部評価のファクターは低いです。この裁判官とはやってけないと書記官が辞めたからといって、それで評価されることはありません。この外部評価で再任されなかったとしても、不服を申し立てる制度はなく、みんな納得しています。再任が駄目そうな人は自分で分かる、そのときは辞任する道を選べるのよ。」
「アメリカの大学には法学部がない!」
「司法界で仕事をしようとする人はロースクールで学びます。大学には法学部はないので、様々な分野の人がロースクールに来ておもしろい。」
「裁判官だって量刑について陪審員の意見聞きたいことがある!」
「陪審制度は司法に対する国民の信頼が高まるいい制度です。裁判員制度は量刑まで市民が参加する優れた制度だと思います。私だって意見を聞きたくなることありますもの。マイケル・ジャクソンのことが話題になっていますが、陪審員に求められているのは有罪か無罪かではなく、有罪か有罪じゃないかということです。グレーは有罪じゃないのです。この精神を私は徹底的に陪審員に説明しています。陪審員は憲法上の権利であり、義務ですが、やはりみんな来たいわけじゃないですよ。でも、来た人は99.9%よかったと言っている。中にはひどい人がいて、それは帰ってもらいますけど。」
「裁判官の市民的自由は?」
「裁判官には全米的な道徳的規制があり、政治的なことへのかかわりや、政治団体に寄付をしたり、差別的団体、また、女性だけ、白人だけの団体に加入したり、政党に入ることも禁止です。いろんな場での司法教育は義務です。裁判官だけの自主的な組織にはほとんどの人が入っています。司法制度に関する話はしますが、量刑の変更や、新しい立法、世界中の今動いている事件に対するコメントは道徳違反となります。」
「何年後かのマッケナさんは、最高裁判事かも!」
「2005年6月に再任されました。仕事にも自信もついたし、もう再任されなくても生活の保障はされているし、正しいと思ったことをどんどんやっていきたい。実は2002年に私が出した判決を3週間後に最高裁がくつがえしたことがあった、これは私は最高裁は政治的判決をしたと思っている。そんなことがあったけど、私はハワイ州最高裁判事にノミネートされたのよ!」
「マッケナさんの余暇はどのように」
「子供が小さいときは、一緒にサッカー、バスケット、コーラスをやっていたんだけど、少し手が離れてやめたら、太ってしまった(^o^)今フィットネスに通っているわ。いろんな相談事は仲のよい判事がいるので話し合える。ハワイ州判事の半分は女性です、転勤ないから。日本でももっと女性判事が増えるといいわね。」
「私もこのネットワークのメンバーになれますか?」
最後にマッケナさんから「日本にこんな会があったんですね、これからも私にできることは協力したいし、会員になれますか。」との言葉が飛び出しました。コーディネーターを代表して、安原判事は「これはうれしい。規約を検討して、ぜひ迎えたい。」と。ファンクラブとしても国際的に発展するネットワークを歓迎したい気持ちで一杯となったつどいでした。
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(ファンクラブ通信からの抜粋, 平成17年7月) |
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