● 不服申立制度について

アルジャ 

 研究会は、裁判官の人事評価への不服申立制度の基本的手続として、被評価者には評価の内容について不服を述べる機会を保障し、評価者は、それを受けて評価内容を再考し、その過程及び結果を記録化するというだけに終わっており、不服を判断する第三者機関の設置は不要であるとしている。

 不要だとする研究会の理由は、日本裁判官ネットワークにも掲載されているように非合理的である。とても裁判官が書いた文章だとは思えないほどの稚拙さである。この報告書が、海外の裁判官の目に触れるかと思うと、同じ日本の裁判官の一人として、いてもたってもいられないほどの恥ずかしさだ。

 私は、所属する裁判官会議で、第三者機関の設置は当然必要であり、不要だとする者は、不服申立制度の意義そのものを誤解していると述べたが、同調した裁判官は一人だけだった。日本の裁判所はおかしいと実感した瞬間だった。

 不服を申し立てられた当人達が再考する制度だけで十分だという欧米の裁判官がいるだろうか?
(掲載責任 伊東武是)