法曹一元について |
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私は、判事補制度を廃止し、法曹有資格者で裁判官以外の経験を10年以上有する者(主として弁護士)から判事を任用する「法曹一元制度」に大賛成である。しかも、速やかに移行させるのが良いと思う。
わが国における法曹一元制度の具体的内容をイメージして見たい。
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1 |
給源は法曹有資格者であるが、主として弁護士である。当事者法曹である弁護士を10年以上務めて成功し、評価の高い者の中から、自薦・他薦で選考できる仕組みを作る必要がある。
そのために、弁護士に対する「依頼者、相手方、裁判官、検察官等からの評価システム」を作ることと、単位弁護士会から推薦されれば、裁判官任官に応募することを事実上義務づけるような趣旨の立法が必要である。任官に際し、受任事件を円滑に引き継げるよう、また退官後元の事務所に戻りやすくするよう、弁護士事務所の法人化は不可欠である。
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2 |
法曹一元裁判官の任期は10年である。しかし、10年勤務できる場合しか採用できないとする必要はなく、離島・僻地その他希望者の少ないポストの場合は、1ないし5年間しか勤務できない人(定年まで1ないし5年しかない人)でも採用して良い。もとより、どこの裁判所でも 雨だれ式審理は止め、集中審理を行うことが前提である。
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3
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高裁、地裁、家裁の別、本庁、支部の別、民事・刑事・家事・少年の別、裁判長か陪席かの別によらず、法曹一元裁判官の報酬は全員同額とするのが良い(裁判長は主任裁判官が交替で務める)。報酬額については、年収税込み2000万円位が取りざたされているが、最終的に、金額は、弁護士として成功している者の平均値を勘案して決めることにならざるを得ないだろう。
なお、離島・僻地のような、希望者が少ないと予測される任地については、生活の本拠地まで時々往復する交通費の趣旨で、相当額の手当を支給するのが適切である(2と3により、経験豊かな弁護士の中から僻地希望者が殺到する可能性があると私は思う)。
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4 |
ポストを固定して募集するのが良い。大阪高裁民事○部、京都地裁刑事○部、神戸家裁家事○係、和歌山地家裁新宮支部(何でも担当)という具合である。高裁単位で裁判官として採用し、補職や転勤は例えば高裁の裁判官会議で決めるというような構想があるが、官僚システムの弊害の大半をそっくり持ち込むおそれがある。
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5 |
法曹一元裁判官の任用については、民意が反映するような方法を 講じるべきである。
地家裁の裁判官については、府県単位で、高裁の 裁判官については管轄地域単位で、それぞれ裁判官推薦委員会を 作り、その推薦結果を尊重して任命するシステムにするのが良い。委員会の構成は、法曹三者以外の委員が大半を占めるようにすべきであり、司法制度改革審議会の委員構成が大変参考になる。 |