● 木佐茂男九州大学大学院法学研究院教授からのメッセージ
 日本裁判官ネットワークの創立10周年とのこと、心からお祝い申し上げます。

 ドイツで裁判官・裁判の実情研究を開始したのが1986年。それから23年経ちました。87年の帰国後お会いし始めた日本の裁判官や弁護士の方々、当時いっしょに行動し始めた方々もほとんどが退職時期、弁護士ではほとんどが会長職などを務められました。ときの経つ速さに今更ながら驚きます。

 21世紀に入って日本では司法改革ならぬ司法「制度」改革が行われました。
私個人は弁護士業務を教員の兼業として行って5年余が過ぎましたが、実務を通じてきわめて多数の着手されていない司法問題があることにいっそう気づいています。今も、自分にとっては結構な大きな事件を複数扱っていますが、裁判官の方々に聞いてもらう、読んでもらう、理解してもらうことの難しさを日々感じているところです。

 日本裁判官ネットワークの皆様には、今後とも、「司法改革」とは何か、を念頭において、やむを得ず訴えることになる市井の人々の声をしっかり聴いた上で裁判を行っていただきますよう、また、若い裁判官が加入し議論する場としていっそうの定着を祈念いたします。
(平成21年11月21日)