● 江田五月参議院議長からのメッセージ
 裁判官ネット10周年,おめでとうございます。

 この10年は,ちょうど司法制度改革の過程と重なります。日本の戦後改革は,あらゆる面で時代を画する大改革でした。参議院の議長応接室の壁面に,天皇陛下のご臨席を得て行われた儀式の絵が,10数枚掛かっています。国会内で陛下をお呼び出来る場所は参議院の議場しかないのですが,一枚だけ異質のものがあります。昭和天皇が軍服姿で,参列者に軍人も多く,そして女性は一人もいません。これは実は,「貴族院」の議場なのです。そこで,私はいつも言うのですが,参議院こそが戦後改革の象徴なのです。

 ところが残念なことに,司法の戦後改革は不十分で,いわば表紙を変えただけで本質的なところは変わっていません。変えてはいけないこともありますが,国民主権のもとでの司法のあり方を,真剣に求めていかなければなりません。これは,外圧で成し遂げられるものであってはなりません。司法の内部から沸きあがる声こそ,何より大切です。司法ネットの皆さんのご活躍は,本質的な重要性を持っています。10年の活動を礎に,今後とも一層活躍されることを心から期待して,応援のメッセージとします。頑張ってください。私も,史上唯一の裁判官出身の議長として,頑張ります。
(平成21年11月21日)