皆様からのメール(2008/12/01)



角田益雄 60歳代 男性 東京都 自営業

 私は裁判員制度の定着は、いろいろな意味で効果のあることと考えています。
 先ず、裁判員に選任されたとしたら、果たして自分はその任に当たり、適任者であるのかどうか相当深く自問自答するものと思います。このことは、自ら法律違反している者が、人を裁く立場に身を置くことは許されない、と考えることにつながります。また,法律を守って日常生活を過ごそうとする考え方が強く出てくるように思います。
 次に、くじで選任された素人裁判員は、真面目に事件と取り組み、判決に参加したことから、その事件を通して、社会の責任・個人の責任等を考えることになります。裁判員後の社会生活において、どのような工夫をしたら良いのかと考えるきっかけになるのではないでしょうか?
 三つ目は、裁判員になると、司法制度の一員となり、かつ独立した立場での意見を求められますので、他人の意見に迎合するだけでは処理できなくなるものと思います。今までは、意見を述べず日常生活を送っていても、今後は自分の考え方に基づき、自分の意見を発言するよい機会になるものと思います。従来の『誰かがやってくれる』といった傍観者で入られなくなるものと思います。
 このことは、更にいろいろな事件に対して、いろいろな人が様々な意見を出すようになるものと期待し、社会の変革に少しずつ近づくものとも期待しています。例えば、犯罪当事者(犯人・被告人)が再び社会に復帰するにはどのような社会環境を整備する必要があるかなどにまで考えていくようになるものとも思います。


平井治彦 60歳代 男性 岐阜県 弁護士

 今週の月曜日から木曜日にかけて傷害致死被告事件の裁判員参加の模擬裁判に弁護人役の一人として参加しました。岐阜地裁刑事部、岐阜地検、岐阜県弁護士会の共催です。
 数ヶ月の公判前整理手続きの過程で得取した開示証拠に基づき、4人の弁護団で協議を重ね、検察官請求証拠を弾劾しましたが結果は有罪でした。
 内訳は
 裁判官3名有罪
 裁判員3名有罪
 同  3名無罪
 補充裁判員1名有罪
 同    2名無罪
という結果です。
 補充を含めた裁判員だけをみると、
 有罪 4名
 無罪 5名
となります。
 ここから分かることは、無罪の推定が裁判官には機能しないということです。評議の有様がモニターで撮されましたので詳細を見
ることができました。明らかに有罪の方向に誘導していますね。
 それでも3名の裁判員は無罪の評決をしました。この点は特筆すべきことです。陪審との質的相違を再認識しました。
 弁護人が開示証拠により批判を重ねても、裁判官が有罪推定を緩めない以上、決定的ダメージ与えない限り徒労ということになります。
 裁判長は、評議の冒頭に、「合理的疑いがあれば有罪にはできません」と説示しましたが、裁判官が理解する合理性の巾が著しく狭いのです。
 この制度により、誤判・えん罪の危険性が高まったというのが率直な感想です。