● 私の「家庭裁判(隔)月報」(5)
竹内浩史(さいたま家裁川越支部・飯能出張所)
(自判解説)
 離婚訴訟の財産分与の際の分与割合はどうあるべきか。
 夫婦折半を原則とすべきだという「2分の1ルール」が裁判実務では一般化しているものの、民法改正による明文化が実現しているわけではない。今もなお、分与割合を争う当事者は珍しくない。
 私は、次のように一般論を判示した上で、個別の事案に促した判断を示すことにしている。多くの場合は、やはり2分の1という結論になるが、稀に特殊事情を認定して3分の1とか4割という判決をし、控訴なく確定した事例も複数あった。
 ここでも、何も憲法の規定まで持ち出す必要はないのではないかと言われそうだが、なぜ夫婦平等が大原則なのかを法的に説明しようとすれば、憲法24条2項(両性の本質的平等)を援用するのが最も自然だと思っている。

(判決抜粋)
 憲法24条2項の趣旨を受けて、民法2条は「この法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等を旨として、解釈しなければならない。」と規定している。したがって、離婚の際の財産分与も、両性の本質的平等に立脚して判断すべきものである。
 すなわち、夫婦が婚姻中に合意により役割分担を定めていたと解される場合は、たとえ名目上の収入等に不均衡があるとしても、それぞれの役割を基本的に怠りなく務めていたと認められる限りは、協力によって築いた夫婦共有財産に対する分与の割合は、2分の1ずつとするのを原則とすべきである。
(平成22年2月)