● ホストファミリー体験記 =番外編=

工藤涼二(神戸地裁尼崎支部) 

 2002年に弁護士任官してから,広島で3年,千葉で3年と合計6年間自宅を離れて暮らしていたが,この春異動となり,久しぶりに神戸の自宅から通えるようになった。ようやく新しい生活にも落ち着いたので,少し昔の話になってしまったが,ホストファミリー体験記の番外編としてお話ししたい。

 一昨年の春頃,パソコンに突然「nihon ni ikimasuyo」(日本に行きますよ〜)というメールが舞い込んだ。送信者は,このホストファミリー体験記bPでお話ししたオーストラリア在住のタマラである。以前,キャンベラで挙げた結婚式に招待されながら行けないままでその後どうしているのか分からず,ひょっとして離婚などしてはいないかと家内と心配していたのであるが,メールによれば,既に1才半近くになる男の子がいて,夫君と3人で日本に行くので会いたいというのである。当時は私も千葉市内の官舎住まいであり,ちょうど成田空港にも近く便利が良かったので,電話で打ち合わせをして迎えに行くことになった。タマラも長く日本語から離れていたせいか,あんなに上手だったのに以前ほど流ちょうには話せなくなっていたが,それでも私の英語よりは随分達者であり,少し話している間に大分スムーズに話せるようになったのはさすがであった。

 成田空港の国際線到着ロビーで待っていたところ,予定より若干遅れたが,3人で元気に現れた。6〜7年ぶりに会うタマラは,眼鏡をかけ,すっかり妻や母親としての自身と貫禄を身につけた立派な女性となっていた。写真でしか知らなかったが夫君も気さくな青年で,すぐにうち解けて話ができた(彼は日本語を話さないのでもっぱら英語ということになるが,タマラが通訳してくれるので助かった)。

 二人の間にできた長男リアム君は1歳半にしては大柄で,澄み切った青空のような,実にきれいな瞳を持ち,既にいくつか片言を話す賢そうな子であった。取りあえず官舎に来てもらったが,丁度そのとき私の次女と三女達がそれぞれ子どもを連れて遊びに来ていたので,タマラとも会うことができ懐かしがっていた。次女の長女がリアム君と生まれ月も殆ど同じであったため,早速2人でトイレットペーパーを積木代わりにしてよく遊んでいた。日本の子供同士だったら「好き好き」をしあうような感じだと思うが,リアム君が孫に上手にキスをしたのには驚いた。

 タマラから,日本に2週間くらい滞在する予定だが最初の4〜5日間の宿泊場所を東京近辺で予約しておいて欲しいと頼まれていたので,千葉市内に2泊分と東京駅近くに3泊分を確保しておき,夜になってそこに案内した。夫君が行ったことがないというので回転寿司店に連れて行ったのだが,あいにく週末で満員であったため経験してもらえなかったのは残念であった。

 国内旅行のプランにつきいろいろアドバイスしたが,楽しく日本での休暇を過ごして帰国したようである。その後はまた互いにご無沙汰してしまっているが,リアム君も2歳半くらいとなり,一段と成長したものと思われる。タマラ達との話で,彼が中学生くらいになったら,ぜひ夏休みなどにわが家にホームステイに来させるということになった。まだまだ先の話だが,実現したらきっと楽しかろうと今から心待ちにしている。

 なお,この夏から来春まで,アメリカ人の青年をホームステイさせることになった。半年以上の長期間なのでいろいろ大変な面もあるとは思われる(特にその間に三女の第2子出産がある)が,また貴重な体験ができるものと楽しみである。このことについても機会があれば番外編パート2という形でお話ししたい。
=終わり=
(平成20年8月)