● 弁護士任官どどいつ(46)

竹内浩史
    「信号機による 交通整理 行われてない 交差点?」

 交通事件での代表的な常套句は「信号機による交通整理が行われている交差点」である。
 これは道路交通法の条文の文言には忠実な表現だが、普通の人は「信号交差点」と呼ぶだろう。
 もっとも、昨年の大震災後の計画停電の際には「信号機はあるが交通整理が行われていない交差点」が現出した。
 しかし、そんな特異な場合を想定する必要は無いと思うので、私の判決では単に「信号交差点」と表記することにしている。

    「弁論準備による 交通整理 行われてない 民事訴訟」

 民事訴訟で比喩的に「交通整理」と言えば、主張整理のこととなろう。現行民事訴訟法では、主に弁論準備期日で主張整理が行われることが想定されている。
 もっとも、現実には、一審裁判官の手持ち事件数は約200〜300件と多いため、争点整理案を作るような手間はほとんどかけられない。
 そもそも、紛糾している事件で争点整理案を作っても、そのような整理が妥当か否かという新たな争点ができてしまう結果になる場合さえある。
 主張と書証が出揃ったところで陳述書の提出をさせて尋問を行い、和解や判決をした方が早い事件が少なくない。

(平成24年2月)