● 弁護士任官どどいつ(21)
竹内浩史(さいたま地裁川越支部) 
「統計上でも 圧勝だった 駆け込み妻らの 勝訴率」

 人事訴訟係になって、昔の離婚制度に改めて興味を持った。建前としては夫が妻に「三行半(みくだりはん)」の離縁状を渡す形しかなかったが、妻が鎌倉の東慶寺に駆け込んだ場合は実質的に逆転。あらゆる手段で夫に離縁状を書くよう迫り、ほとんどが内済(ないさい)離縁と呼ばれる一種の協議離婚で済んでいたという。現在の離婚訴訟の調停前置主義にも少し似ている。家庭裁判所に離婚を申し立てて来るのは妻の方が多く、統計上その大半は、判決以前の調停や和解の段階で離婚を果たしている。

(平成19年10月)