● 弁護士任官どどいつ(5)
竹内浩史(東京高裁) 
「記録残しておきたいけれど役に立たない古データ」

 昨年は裁判官になって二年目。百件を超す判決を起案した。任官以来、手控えは全部残したきたが、さすがにロッカーが一杯になり、自分が起案した高裁判決と原判決だけを残して、あとは全部処分することにした。決断の動機となったのは、本で読んだ古田捕手の見解。一年経ったデータは役に立たないから忘れるべきだという。去年と同じ配球で打ち取れる打者なら、今年はクビになっている筈だから。事件でも、以前と全く同様の紛争なら裁判になって来ないかも。予断なく新件を見たい。

「残る時間は短いけれど何とかなるさと楽天家」

 1月22日、弁護士会による弁護士任官の集いに招かれ仙台へ。新球団「東北楽天ゴールデンイーグルス」に盛り上がる街を堪能した。それにしても、球場完成は開幕に間に合うのだろうか。新規参入といえば、弁護士任官者も立場が似ている。そして、多くの裁判官にとって、3月末から4月初めにかけては異動の時期となる。審理の終結間際で担当裁判官が交代する事には批判もあり、後任に負担をかけたくないため、判決起案は増大する。大変だけど、何とかなるさという楽天的な心持ちも必要なようである。

(平成17年1月)