第28条「民事訴訟の引き延ばしのみを目的とした控訴に対しては、裁判所は制裁を加えることもできる。ただし、和解目的の控訴も許容され得るので、実際には制裁はほとんど発動されない。」(民事訴訟法303条)
訴訟の完結を遅延させることのみを目的とした濫用的な控訴に対しては、控訴状に貼った印紙額の10倍以下の制裁金を課することができる。
しかし、何をもって控訴権の濫用というかは難しく、実際に適用された例は皆無に近くなっている。
ただし、最近の簡裁から地裁への控訴事件の大半は、過払事件で敗訴した被告貸金業者の控訴である。ほとんどの控訴は明らかに理由が無く、その上に和解をするつもりも無いのならば、資金繰りの時間稼ぎに過ぎないと見てよかろう。そんな控訴を割に合わなくするためには、そろそろ伝家の宝刀を抜くことを考えてもいいのではないか。
もっとも、元来が簡裁管轄の比較的少額の事件なので、控訴状印紙額(簡裁の上限額140万円の事件でも1万8000円)の10倍程度では、制裁としての迫力を欠くことも否めない。
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