第17条「国家賠償請求を認容する判決は、原告個人の損害を全国民が納める税金で補填することを許可するという意味である。」(日本国憲法17条・国家賠償法)
国家賠償訴訟でよく目にするのが「国は責任を取れ」というスローガンである。しかし、実際には不法行為をしたとされる個々の公務員が自腹で賠償することはまずないのであって、結局は国民が納めた税金から賠償金が支払われる。この点が一般国民には見過ごされがちで、むしろ、裁判官の方が強く意識しているように思われる。
戦後補償裁判が「全国民が等しく受忍しなければならない戦争被害」であるという理屈でなかなか認容されないのも、そこに原因がありそうだ。
逆に、個々の公務員の不法行為と認定するのは難しそうな予防接種訴訟がほとんど勝訴する流れになっているのは、ごく少数の不運な犠牲者は全国民の負担で救済すべきだという感覚が働くからだろう。
しかし、これもB型肝炎のような大規模な問題になると、政策的に貫けるかどうか微妙になってくる。裁判所よりも一般国民に向けた運動が必要とされる理由もそこにあるのではなかろうか。もし、救済要請署名が国民の多数の賛同を得られれば、裁判官も安心して認容判決を出せるだろう。
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