● 悪魔の法典(14)
チェックメイト
第14条「裁判官は、下した判決が誤判であったと悟った場合でも、自らその判決を訂正する機会は与えられない。ただし、再審の場合は、この限りでない。」(民事訴訟法23条1項6号・刑事訴訟法20条7号)

裁判官は、たまたま上級審の裁判所に転勤したような場合でも、自分が下した一審判決の控訴審を担当することはできない。「前審関与」として訴訟法が規定する除斥事由に該当するからである。したがって、自ら誤判を訂正する機会も与えられないことになる。

ただし、再審に関しては同様の規定は見当たらない。上級審ではなく同じ裁判所が再審も管轄するケースが多い上に、理由のない再審請求が濫発されるケースも散見されるので、担当する裁判官がいなくなってしまう事態を避ける意味もあるだろう。

これを逆手に取って、再審公判前から誤判が明白になっているといった特異なケースでは、原判決に関与した裁判官を再度集めて合議体を構成し、担当してもらうというアイディアもあり得よう。なるべく「裁判官の独立」に抵触しないで、法廷で被告人に謝罪することが可能になるかも知れない。


(平成21年10月)