第13条「裁判の手数料(貼用印紙代)の額は、訴えの提起の場合に対し、控訴は1.5倍、上告は2倍とする。これは、各審級における主任裁判官の人数に比例して設定した料金である。」(「民事訴訟費用等に関する法律」別表第一の一〜三項)
単純に各審級での担当裁判官の人数比例にするならば、通常は第一審が1人(単独事件)、控訴審が3人、上告審が5人(小法廷)だから、1対3対5となるはずではないか、と思われるかも知れない
しかし、主任裁判官の人数は、1対1.5対2という方が実態に合っているから、良心的な価格設定である。
控訴審で最も記録をよく検討して判決原案を起案するのは、陪席裁判官のどちらか(主任裁判官)だけである。3人で合議はするにしても、判決原案に裁判長が手を入れるだけで済む場合も多いので、1.5人分というのは実態に合っている。
それならば、最高裁では、主任裁判官は小法廷内で交代で務めている裁判長1人ではないか、と言われるかも知れない。しかし、最高裁には、もう1人、陰の主任裁判官がいる。それは、上告記録をあらかじめ検討して裁判長に報告書を上げる最高裁調査官(本来は下級審裁判官)である。したがって、主任裁判官2人分の印紙を貼ってもらうのは、やはり実態に合っていると言えるのである。
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