● 悪魔の法典(9)
チェックメイト 
第9条「裁判官は、尋問の際、そんなの関係ないと尋問者にツッコミを入れることができる。また、自ら補充尋問をして、なんでやねんと供述者にツッコミを入れることもできる。」(民事訴訟規則113条3・4項、114条2項、115条3項)


 当事者からの尋問を制限する一方で、自由に補充尋問ができる裁判官の権限は、見ようによっては絶大である。
 相撲の行司のような立場でありながら、事案によっては勝敗を左右することさえあり得ることになる。
 したがって、特に補充尋問に対するスタンスは、裁判官によってかなりの差がある。
 非常に謙抑的な立場を取り、意味不明瞭な供述内容の確認しかすべきではないという方もいる。尋問が下手で敗れるのは弁護士の自己責任という厳しい見方もある。
 しかし、謎の点を残したまま、真相に迫れず、隔靴掻痒の状態で判決を書かされる立場も非常に辛いものがある。
 特に、職権による証拠調べまで期待されている人事訴訟などの分野では、仮に結論を左右する可能性があるとしても、積極的に補充尋問をすることも許されるのではないだろうか。
(平成20年12月)