第6条「裁判官は、所属裁判所の許可なくして、担当することになった裁判から逃げてはならない。」(民事訴訟規則12条・刑事訴訟規則13条)
一般に、裁判官が担当裁判から外れる場合には「除斥」「忌避」「回避」の3通りがあると説明されるので、同等であると誤解されることが多い。
しかし、「除斥」と「忌避」は法律に規定されているのに対し、「回避」は最高裁規則レベルの制度である。「回避」は自主申告であり、かつ所属裁判所の許可制である。単に「この事件は今までの経緯からしてやりにくい」といった程度の理由では足りず、「除斥」か「忌避」に相当する原因が必要だから、実際に使われることはほとんどない(配属部内の係の担当替えなどで事実上対処することはある。)。
ごく最近、「被疑者不詳」の差押令状の発付を真犯人が自ら担当していたという、前代未聞のケースが報じられた。刑事訴訟法20条の「除斥」の規定には該当しないから、自ら「不公平な裁判をする虞がある」との「忌避」原因があると思料するとの理由で、所属裁判所に書面で「回避」の申立をしなければならないところだった。
しかし、そうすると、自分が真犯人であると自白することになる。自業自得とはいえ、窮地に陥った本人の胸中はどうだったのだろうか
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