● 第21回司法シンポに参加して
工藤涼二(千葉地裁) 
 先月(6月)24日,大阪市中央公会堂で行われた日弁連主催の第21回司法シンポジウムにパネリストとして出席する機会を得ました。昨年の夏,大阪弁護士会の中本和洋先生から要請を受けたときは,これまで何度か参加したのと同様に弁護士任官をメインテーマとしたシンポジウムと思いこみ,二つ返事で引き受けたのですが,日が近づくに連れてその内容が明らかになり,テーマが「21世紀の裁判所のあり方」と広範なものであることや,他のパネリストが作家の夏樹静子先生や桂文珍師匠,最高裁の園尾隆司局長,ハワイ州のマッケナ判事らビッグネームであることが分かると果たして私で務まるのか不安になってきました。しかし,多くの弁護士の皆さんに弁護士任官を訴えると共に,常日頃感じていることや,ネットワークの一員として意見発表するよい機会であると考え,腹を据えた次第です。昨年暮れに神戸市三宮のホテルで,司会進行役の明賀弁護士や総合司会役の夏住先生(いずれも大阪弁護士会)らと打ち合わせ,その後も何度かメールでやりとりをして本番を迎えることとなりました。

 当日を目前にして考えたことは,@限られた割り当て時間の中で如何に効率よく発言するか,Aネットの皆さんのご意見をそこにどのようにうまく絡ませるか,そしてB文珍師匠や東大落語研究会出身の園尾局長が連発するであろう「ギャグ」や「洒落」にどう対抗するか,といったものでした。@及びAについてはパソコンで原稿を作り,推敲を加えたものを打ち出しておきましたが,Bについてはあまりいいものが思いつきません。結局,あれやこれや頭を悩ませながら考えたものを2つ3つ用意して会場に向かいました。

 実際に控え室でパネリストの方々にお会いすると,文珍師匠などは日頃テレビで拝見しているのと顔は同じでも雰囲気はずい分違い,全く「お笑い芸人」といった感はありません。園尾局長はお会いするのは初めてでしたが,どのような場でも気後れすることなく,はきはきとした口調で受け答えされておられるのには感心しました。泥縄で「量刑」ほか2,3冊の著書を買い込み,読んでみましたが,そこで受けた私のイメージとは異なり,夏樹先生は,本当に小柄で謙虚なかわいらしい方でした。こういった方々の中で非常に緊張しましたが,マッケナ判事(母上が日本人で高校2年まで日本におられたため,日本語が非常に堪能な女性)がフレンドリーな態度で接して下さったのでとても助かりました。

 さて席に着き,1000名を越す会員が集まっているのを目の当たりにすると全く上がってしまい,目の前の原稿も目に入らない始末でしたが,徐々に落ち着いてくると最前列に座っておられる井垣さんの姿が見えるようになりました。

 ところで,今回のシンポは,@裁判官の任用と人事評価,A地裁委員会・家裁委員会,B弁護士任官と判事補の弁護士経験,という3つのテーマから構成されており,私は主に@とBのテーマにつき発言を求められました。特に最初のテーマについてネットの皆さんが感じておられること,すなわち「内部評価に対する疑問」を発表したわけですが,その途端に園尾局長がマイクを取って発言されたのには驚きました。私の発言はパネリストに配布された進行シナリオにも入っていないぶっつけ本番のものだったのですが,局長の「想定の範囲内」だったのでしょう。あとは,浅見さんの著書である「裁判所改革のこころ」を紹介することによってキャリアの方々の中にも自主的に改革の活動をしているひとがいることを改めて訴えようと考えていたのですが,これも事前の打ち合わせでは披瀝していなかったので,どの場面で挿入するかも問題でした。結局一番最後のまとめの感想でいうことになりましたが,特に「すべる」こともなく聞いて頂けたのではないかと思います。

 このような大きなシンポで発言することはこれまでに体験したことがなかったのでとても疲れましたが,弁護士任官を訴えることもできましたし,その後開かれた懇親会でも多くの方から望外のお褒めの言葉をいただき安堵しました。もう少しネットワークの主張も入れられたのでは,との感もありますが,また別の機会があればそのときに委ねたいと思います。

 私にとっては負担の大きいシンポでしたが,これで少しでも弁護士任官の途が広いものなってほしいと念じつつ千葉に戻りました。最後に,苦肉の「ギャグ」も幸い大受けでほっとした次第です。

(平成17年7月)